ボルドー超有名シャトー訪問記 その一
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シャトー・ピション・ラランド |
「ごめんね、ポイヤックの貴婦人」の巻 このシャトーの数々の逸話をいまさら、語るまでもない。有名すぎる。 ワインプレス取材班はこの日、正午ラランドの午餐のご招待にあずかり、総勢4名でラランドに車を横付けした。 |
出迎えのデュロー女史に案内されて畑が一望できる午餐会の会場へと速やかに移った。 ウェルカムドリンクはシャンパン、テタンジェのブリュット。各国、大使を初めとする世界のエリアから賓客が盛装で会場はなにやら優雅な雰囲気。 ワインプレスの藤田社長はその中で、勿論極東代表、つまり日本代表の栄誉にあずかったことに着席して気がついた。 や、やばい、どうしよう…。私はまだしも、お付きのわが社のシニアソムリエは服装的に完全に浮きまくっている。フランスに来てからずっと、寒すぎてかの女は毎日カシミヤのセーターを着込んでいる。その上からデニムの上着をはおり、ボブソンのジーンズにとどめは赤いピングーリュックだ。トホホホホ・・…。とめどないため息であった。 |
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しかしそんな社長藤田のひとりごとに気付いた者は誰もいなかった。(他の二人も超カジュアルで、部長といい勝負なのだった。) 厳粛な中、全員の着座を見計らって、支配人のムッシュ・ドロン(d’llone)がニコニコ顔で賓客の名前を紹介した。そうそうたるメンバーにますます血の気が引いた。ふと見れば、残りの3人は超リラックスしてご馳走を食べている。気楽でいいよな。あーーっ!よく見ればもうグラスに並々と赤い液体が入ちゃってるじゃないか!? えーいっ、こ〜なったらやけのやんぱちだ、飲むぞーっ、食べるぞーっ。ラランドを思いっきり飲んで酔わずにいられるか、これが〜っ! |
すくっと立ち上がり、ボトルを並べてあるテーブルに近づいた彼の前に垂涎の的、ラランド 94、95、93マグナムとレゼルブ・ド・ラ・コンテス 97,98がお行儀よくたたずんでいた。ほれぼれしながら内心「さすがわ貴婦人、立ち姿もあでやかだ。君と最後に会ったのは2年前のコルデヤンヴァージュ(シャトーランシュ・バージュのホテル)でだったね。 そーいやシェフソムリエの石塚さんはお元気かなァ。」とわけの分からない事をひとりごちた。あれやこれやと色々思い描くだけで、なんだかとってもありがたい気持ちになる藤田社長であった。その横顔を見やりながら、(飲む前からこんなで、この後どこまで盛り上がるんだろうか。)と部長は二杯目のためにグラスをもって順番を待っていた。 |
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