家業を継ぐ前は本物のプレスだったなんてびっくりのブラスケさん。


シャトー・ボーダン


プチシャトーvsパーカーポイント

 ブラスケさんは、この蔵元の5代目。
でも家業とは離れ、ずっとプレスの仕事に携わってきました。
といっても、幼少の頃からワイン造りの手伝いは欠かさなかったそうなので、作り方のノウハウと技術は自然に身についたといったところ。

プレスの仕事と彼の内面もいよいよ円熟期に差し掛かったところでリタイヤを決め、ワイン業に復帰したそうです。
「どうしてせっかくのところでリタイヤを?」
と質問したところ、
「もうそろそろワイン造りに専念してもいいのではと判断したからです」
といたずらっぽく笑って答えてくれました。
ボルドレーズ(ボルドーっ子)の余裕を見せられた気がしました。
心身が充実してから本腰を入れて作り始めたワイン、ボーダン。
 平均樹齢45歳の古木から丁寧に手摘みをしたぶどう、醸しを行うイノックス(新素材のステンレスタンク)の特注タンクは、Ch.パルメとここだけの円錐型のもの。
 天然酵母を使い、出来上がりのコルクはポルトガル産の中でも最も良質のトレスカズが打たれます。
彼曰く、いいコルクでないといい熟成をしないとのこと。
 う〜ん、こだわりだわ…。 
 
  ’98プリムールはすばらしい出来映えだ。


 仕込み立ての樽から出されたプリムール(未販売の熟成中ワイン)のボーダンはたっぷりとした赤紫が美しい。
 グラスの中からカシス入りのチョコレートムースのような何ともいえない甘く芳醇な香りが立ち上る。
 口の中での、果実の初々しさと華やかさ。
優しいタンニンをぎゅっと詰めこんだふくらみのあるボディは、飲むものにボルドーワインの何たるかを堂々と誇示して鮮やかに消えていく。

 最高の料理とともに味わえるこのワイン。
どうぞ皆さん、ミシェルゲラール(三ツ星)へお出かけ下さい。

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