山ブドウを丹念に手入れする廬さん
ブドウ園でたわむれる愛犬たち


(大韓民国 慶北奉化郡 梧田里)


イースト・オブ・エデン(エデンの東)
ずっと元気でいて欲しい、そんな願いがきっと伝わる
漢方と山葡萄〜その効能と処方〜

お客様の反響(6月19日現在)


アムール河以南、韓国慶北にヴィティス・アムレンシス(山ぶどう)のパラダイスがある。

 ヴィンテージポートの深遠なる美味しさと不老長寿のパワーを秘めたマウンテン・デューは、数多くの人達を癒している。
たった3ヘクタールのこの小さなワイナリーは廬鐘九さんご夫妻だけで切り盛りしている。
 韓国初のこの本格的ワインは世界のワインライターも笑みこぼれるほど素晴らしい逸品だ。

イースト・オブ・エデン(エデンの東)
 「韓国のワイン」を初めて口にした時、その不思議な味に興味を持った。
甘口でありながらさっぱりとしていて、甘ったるさが口に残ることもない。相当の酒飲みでも、あるいはあまりお酒を飲めない人でも、楽しめそうな味がした。
ワインの名前はマウンテン・デユー(Mountain Dew)。「山露」という意味だという。
 山間部の畑で大事に育てられた山ブドウを原料にして作られる。だから、ふつうのブドウから作られるワインよりもはるかに濃い色をしている。製造元は「イースト・オブ・エデン(エデンの東)」。
 ソウルから南東に向かって特急列車で三時間で、韓国一の高麗人参や松茸の産地として知られる豊基(プンギ)に到着。ワイナリーはそこから事で四十分ほどの集落、梧田里にあった。
 いにしえの時代には仙人が住んでいたとの言い伝えもある地域だけに、何やら神々しい雰囲気さえ漂っている。

 ワイナリーのオーナー廬鐘九(ノ・チョンクー)さん。もともとはソウルでサラリーマンをしていた。
「都会のやこしい人間関係に疲れ果て、大事な一生を過ごしてしまいたくはない」。そんな思いでソウルを飛び出し、夫人とともにここに移り住んだのは一九九三年のことである。
 独学でブドウの栽培方法やワイン醸造の方法を学び、大学時代の友人のアドバイスを受けながら、試行錯誤の繰り返しとなる。そして一九九七年、やっとのことで「マウンテン・デュー」が誕生した。


右端の方はデンス・ギャスティン氏。
「オックスフォードコンパニオン」の編集者及びワインライター。
ジャンシス・ロビンソンやヒュー・ジョンソンなどとともにワインに関するあらゆる文献に取り組んでいる。
山ぶどうについても精通しており、日本国内の山ぶどうワインにも詳しい。
左端はマウンテンデューの生みの親、廬さん。
中央は、わが社のシニアソムリエ!
 新酒「マウンテン・デュー」は韓国内で評判となり、慶州で開かれた国際会議の晩餐会などの公式行事にも使われる。無農薬栽培で育て上げた、たくさんのミネラル分を含んだ山ブドウを原料にしていることもあり、滋養健康酒としての人気も根強い。

 廬さんのワインは、八千坪ほどのブドウ園で栽培している山ブドウだけが原料となっている。山ブドウの摘み取りには近隣の農家に協力を仰いでいるもののワイン醸造の行程だけは、今でも廬さんと夫人だけが作業する「聖域」としている。このためどうしても生産に限りがでてしまう。廬さんは「自分が納得のいくものだけを出荷したいので(生産量を伸ばせないのも)やむ終えない」のだと割り切っている。

 廬さんのワイナリーを訪れたのは九月。ブドウ園には濃い紫色をした山ブドウがたわわに実っていた。農作業の後に廬さんと夫人が醸造所の庭で、珍獨(チンド)犬と戯れる姿が印象的だった。韓国ワインの里は、廬さん夫妻が自らの手で造り上げた、自分たちだけの永遠の楽園「エデンの園」かとも思った。

(雑誌「旅名人」2000年11月号より転載) 


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